早大―関東学院大 前半、関東学院大ディフェンスをかわし突進する早大・今村(右)=国立競技場
ラグビーの第42回全国大学選手権最終日は8日、東京・国立競技場で決勝を行い、早大が前回準優勝の関東学院大を41−5で破り、2大会連続13度目の優勝を果たした。36点差は決勝での最多得点差。
早大の2連覇は1974年、75年の第10、11回大会以来で、13度の大学日本1は明大を抜いて歴代最多となった。
5大会連続で同一カード決勝となった1戦は、早大が前半15分にFB五郎丸のPGで先制、20−0で折り返した。後半も3トライを畳み掛けて、関東学院大を突き放した。
関東学院大を下して2連覇を決め、喜ぶ早大フィフティーン=8日、東京・国立競技場
★「最強」の看板に偽りなし−早大、最多得点差の圧勝
5大会連続で同じ相手との決勝戦。2勝2敗で迎えた1戦は、決勝史上最多得点差で決着がついた。“早大史上最強チーム”が看板通りに圧勝。「最強ぶりを遺憾なく発揮してくれた」と清宮監督が自信満々に胸を張った。
勝負のポイントとみられた密集でのボール争奪戦を、早大がことごとく制した。象徴となったのが前半24分。自陣深くまで攻め込まれながら、ラックで相手ボールを強奪すると、すぐに左展開。首藤が快足を飛ばしてゴールへ駆け抜けた。
攻められても、そのたびにラックやモールで奪い返して逆襲する。今季の早大の強さを象徴する密集でのターンオーバーは大1番でも猛威を振るった。「1人1人が強く、激しく前に出ること」と佐々木主将が得意げにその極意を説明した。
大学レベルで群を抜いた強さを持つ早大にとって、チーム31年ぶりの2連覇は通過点かもしれない。最終目標は2月に開幕する日本選手権。「ずっと打倒トップリーグと言ってきた。本当に食いたい」と佐々木主将。強力FWに決定力あるバックスをそろえた布陣は夢を抱かせる。清宮監督は「これから1カ月。勝つんだ、という気持ちにさせてフィールドに送る」と言い切った。(共同)
★もう1度やり直したい−完敗の関東学院大
日が傾き、陰ったグラウンドに選手たちが立ち尽くす。天を仰ぐ者、むせび泣く者…。ライバル、早大の力は想像以上だったのだろう。「やられました」。関東学院大の春口監督も、完敗を受け入れざるを得なかった。
得点は後半10分に、WTB北川智が左サイドで得た球を持ち込んだ1トライのみ。要所でボールを奪われるなど好機の芽を摘まれた。
赤く目を腫らした有賀主将は「完敗。やることはやってきたんで悔いはない」と言葉少な。落胆した表情はショックの色濃かった。春口監督は「早大のまとまりは強固で、入り込むすきがなかった。こちらは作戦も何もなかった」と漏らした。
昨年まで交互に優勝した2強。そのバランスが崩れた印象が強く残った。就任5年で早大を育て上げた清宮監督について、春口監督は「彼の指導力には言葉もない。もういっぺん、やり直したい」と来季を見据えた。(共同)
★首相の後輩が奮闘
早大のCTB池上は小泉純一郎首相の母校で知られる横須賀高(神奈川)出身。全国から逸材が集まる早大で、ラグビーでは無名な県立の進学校を出た4年生がレギュラーとして奮闘した。
強烈なタックルが武器で、突破を図った関東学院大の有賀主将をあおむけに倒すと、場内はどよめいた。持ち味を存分に発揮し「とにかく最高。(佐々木)隆道を中心に4年生のチームワークが良かった」と喜んだ。
★抜群の個人技披露
早大はSO曽我部が抜群の個人技を披露した。前半29分に鮮やかなDGを決め、34分には軽やかなステップで相手選手を次々とかわして右隅にトライを決めた。
啓光学園高(大阪)で日本1、高校日本代表にも選ばれた3年生。華麗なパスがトップリーグ級とまで言われる天才SOは「脳振とうでトライの場面はほとんど覚えていない。最後に4年生の笑顔が見られて良かった」とうれしそうだった
|
◆春口広・関東学院大監督の話
「残念、力いっぱい戦ったが…。清宮監督、早大に心からおめでとうと言いたい。早大は強い。それが点差にも出た。われわれは継続した攻撃ができなかった」