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早稲田、トップリーグ4位トヨタに勝利(H18−02−12)

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早稲田、トップリーグ4位トヨタに勝利(H18−02−12)

各誌の記事

早稲田ラグビー:史上最強といわれる理由は! H18-02-09 mainichi-msn

 ラグビーの第43回日本選手権で12日、学生チャンピオンの早稲田大がトヨタ自動車と対決する。「打倒トップリーグ(社会人)」を実現できるのか? 今季負け知らずで史上最強といわれる早大ラグビーを探った。【本橋由紀】

 歴代最重量といわれる平均体重96.8キロの強力FW(フォワード)と展開力、突破力のあるバックスを擁し、今季の公式戦12試合はいずれも大勝。全国大学選手権決勝の関東学院大戦も36点差を付けた。強さの背景には、今回の日本選手権後に退任する5年目の清宮克幸監督(38)の徹底した「勝つ組織にふさわしい」改革がある。
 学生主体で夜10時まで行うこともあった練習を、コーチが指導する2時間の練習に短縮した。専属のフィットネスコーチやトレーナー、医師を置き、太くて動きの良い筋肉を鍛えるトレーニングを採用。食事も栄養士がメニューを作り、選手の体づくりを図った。

 清宮監督は「監督就任時は50メートル走で6秒を切る選手はゼロだったが、今は7、8人いる」と効果を強調する。 部組織もビジネスの手法を取り入れた。選手126人以外に、広報、施設管理などにあたる学生スタッフが18人いる。「戦略・分析委員会」を設けて試合のビデオ映像を分析してデータを作成。データを基にコーチらがボールの動き方、ミスの回数、攻撃の正確さなどを数値化したシートを示し、練習内容を明確にすることで選手のやる気を引き出す。体力測定の数値も重視し、「以前は目立たなかったCチームの3年生が今季最速の100メートルで10秒79を出した。その選手はAチームに引き上げた」(清宮監督)。

 意識改革も重要な柱だ。チームのスローガンに「アルティメットクラッシュ」(徹底的にたたきのめす)を掲げたほか、シーズンごと、試合ごとに「テーマ」を決めた。「スローガンやテーマをマスコミにも言いまくることで、選手がその気になる」との発想だ。
 とはいえ、近年の大学と社会人の力の差は大きい。日本ラグビー協会によると、かつての日本選手権は全国大学選手権優勝校と全国社会人大会の優勝チームが対戦していたが、88年に早大が東芝府中を降して日本一になって以降は社会人に勝てなくなった。協会は98年から複数の大学と社会人が出場するトーナメント方式に変更。それ以後も大学が社会人の上位チームに勝ったケースはない。昨年の日本選手権で早大はトヨタとの対戦で、後半30分までリードを保ったが、終盤10分で突き放され、9−28で敗れた。
 清宮監督が決めるトヨタ戦のテーマは何だろう? 「試合に勝った後をイメージしている。『夢』とか……」と清宮監督。勝算は「客観的に見てこちらは去年より強いが、相手のメンバーは同じ。去年は緊張で判断ミスを連発したが、いつもできることをきちんとやればいい勝負ができる」

 「早稲田ラグビー再生プロジェクト」(新潮社)の著者でスポーツライターの松瀬学さんは「今年のチームは、かつての早大の黄金バックスと明大の強力FWを併せ持っている。監督の戦術は明確で、選手は精神面でも身体面でも能力が高い。実力的にはトヨタと五分五分ではないか」と話している。

早大が金星、トヨタを破り4強 ラグビー日本選手権 H18-02-12 asahi.com

ラグビー日本選手権は12日、東京・秩父宮ラグビー場で2回戦2試合が行われた。第2試合で、大学王者の早稲田がトップリーグ4位のトヨタ自動車を28―24で破り、準決勝進出を決めた。

 学生と社会人の力量差が開いたため、日本選手権は両方の日本一チームが対戦する方式から複数によるトーナメントに変わって9回目になるが、大学王者がトップリーグ勢から白星を挙げたのは初めて。19日の準決勝で早稲田はトップリーグ1位の東芝府中と対戦する。

早大が18年ぶり快挙 H18-02-12 NIKKANSPORTS.com

大学王者の早大が、トップリーグ4位のトヨタ自動車を28−24で破り、準決勝に進出した。

 強力FW陣がスクラム、モール、ラインアウトと優位に立ち前半23分、ドライビングモールでNO8佐々木隆道主将が圧巻のトライを挙げるなど3トライ。あごの骨折から復帰したFB五郎丸歩も3PG、2ゴールを確実に決めた。終盤のトヨタ自動車の反撃もタックルで止めた。

 日本選手権で学生が社会人上位チームに勝ったのは、87年度の早大以来(対東芝府中22−16)、18年ぶり。清宮克幸監督は「ワセダFWの勝利」と目頭を熱くさせていた。

早大が快挙、トヨタ破る・ラグビー日本選手権準々決勝 H18-02-12 Nikkei Net

ラグビーの日本一を決める第43回日本選手権は12日、東京・秩父宮ラグビー場で準々決勝を行い、全国大学選手権2連覇の早大が28―24でトップリーグ4位のトヨタ自動車を破った。学生が社会人上位チームに勝ったのは1988年の同校以来で、18年ぶりの快挙となった。

 早大は88年日本選手権で、東芝府中を下した。大会は当時、社会人王者―学生王者の1試合だけの開催だった。

 一昨年の日本選手権3回戦では、学生がトップリーグの下部リーグチームに勝利。早大がコカ・コーラウエストジャパンに、関東学院大が釜石シーウェイブスに土を付け、社会人チーム相手の大学チームの連敗を16年ぶりに止めている。〔共同〕 (18:04)

早大がトヨタ破り準決勝進出 ラグビー日本選手権 H18-02-12 Sankei Web

ラグビーの日本選手権第2日は12日、東京・秩父宮ラグビー場で準々決勝2試合を行い、早大が28―24でトップリーグ4位のトヨタ自動車に競り勝った。

 大学チームが社会人上位チームに勝ったのは、大会が社会人王者―学生王者の対戦だった1988年に、早大が東芝府中に勝利して以来、18年ぶり。早大は着々と得点を重ね、終盤の相手の猛攻をしのぎきった。

ラグビー:早稲田、トヨタを降し準決勝進出 日本選手権 H18-02-12 mainichi-msn

ラグビーの第43回日本選手権は12日、東京・秩父宮ラグビー場で2回戦2試合が行われ、全国大学選手権の覇者、早大がトップリーグ4位のトヨタ自動車を28−24で降した。大学勢が社会人の上位チームに勝ったのは、88年に早大が東芝府中を破って日本一になって以来18年ぶり。

 前半7点のリードを奪った早大は、後半もトヨタの攻撃を耐えしのぎ、一度も逆転されることなく逃げ切った。NECは来季からトップリーグに昇格するコカ・コーラウエストジャパンから10トライを奪って大勝した。

 準決勝は19日、東芝府中・早大(秩父宮)、NEC・三洋電機(近鉄花園)の顔合わせで行われる。

 ◇トレーニングと研究の成果で主導権 早大

 ロスタイムになってもトヨタ自動車の攻撃は続いた。4点差、1トライで試合はひっくり返る。必死の防御で耐えしのぐ早大。しかし、時計が44分を経過した時、トヨタが敵陣で痛恨のノックオン。ノーサイドの笛が鳴って、社会人の厚い壁はついに崩れた。

 終盤は防戦一方の展開だったが、早大には手ごたえがあった。「最初のスクラムでこれは行ける、五分の勝負ができると思った」と主将のNO8佐々木。昨年のトヨタ戦ではFWの圧力で完全に押された。その教訓から今季はFWを徹底強化し、社会人並みの強さを身につけた。前半23分にはドライビングモールを押し込んで佐々木が最初のトライ。スクラムで押し、相手のラインアウトを次々と奪って主導権を握ったのは、トレーニングの積み重ねと研究の成果だった。

 社会人と大学との実力差が開き、日本選手権での対戦は無意味とさえ言われた時期もある。だが、清宮監督は強い口調で言った。「90年代、社会人ラグビーはヒト、モノ、カネを投資して右肩上がりで強化していったのに、大学は同じことを繰り返していただけ。しかし、この約5年間で差は縮まってきた」。早大をはじめ、企業スポーツ並みに競技環境を整えて強化を進める大学が増えつつある。

 トヨタの朽木監督は「学生に負けることは許されないと思うが、努力したチームはやはり強くなれる。早稲田を見て感じた」と潔く負けを認めた。日本選手権の歴史に残る一戦。早大ラグビーは、大学スポーツ復活の兆しを予感させる。【滝口隆司】

早大、トヨタを破り4強…ラグビー日本選手権 H18-02-12 yomiuri

 ラグビーの第43回日本選手権は12日、東京・秩父宮ラグビー場で2回戦が行われ、大学日本一の早大が、トップリーグ4位のトヨタ自動車を28―24で破り、準決勝に進出した。

 大学チームが社会人上位チームを倒したのは、1987年度に東芝府中を破って日本一となった早大以来、18年ぶりの快挙。

 早大は前半、FB五郎丸歩のPGや佐々木隆道主将のトライなどで21―14とリード。後半終了間際のトヨタの猛攻をしのいで逃げ切った。

 早大は19日の準決勝(秩父宮)で、トップリーグ王者の東芝府中に挑む。

「88年より価値ある」 早大、体格差越える戦略 H18-02-13 asahi.com

スクラムにラインアウト、モール。FWの三つの大きな役割で、「互角に戦わないと勝てない」と清宮監督は見ていた。

 立ち上がり、最初のスクラム。プロップ前田が叫んだ。「今日はいけるぞ」。FW平均体重で約6キロ下回っていたが、早くも確信を持った。前半23分の初トライはラインアウトから。平均身長も6センチほど低かったが、タイミングよく確保しモールを押し込んだ。今季、トヨタ自動車はモールからの失点が多く、早大のプラン通りだった。

 攻撃時は、スクラム後方にCTB今村、その外側にSO曽我部と今までにない布陣を敷いた。今村の速さと曽我部の長いパスがより生きて、防御網を突破。トヨタの朽木監督は「予想していなかったことに反応できなかった」と悔やんだ。

 88年、清宮監督が大学2年の時に、早大は東芝府中を破っている。しかし、その後は大学と社会人の力量差が開き、大会形式が変わった。7年前は、同じトヨタに7―101の惨敗。トップリーグには超一流の外国人選手も珍しくない。学生の勝利は無理とさえ言われた中、低迷した早大は練習環境を整え、有力選手を獲得、差を縮めてきた。清宮監督は「(88年より)今日の方が価値がある」。

 最終盤、防戦一方の場面をしのいだ。「今年ほど仲間のためにプレーしたのは初めて。部員の泣く顔はみたくない」と佐々木主将。組織力と確かな戦略。そこに若き結束力が加わり、快挙を生んだ。

 【大学勢の勝利】 日本選手権が大学王者と社会人王者の一発勝負だった第34回大会(97年)までの勝敗は、大学勢の8勝26敗。トーナメント制となった第35回大会以降は、第41回大会で、早大と関東学院大が、地域リーグ所属チームを破っている。

 この日、第43回大会での早大の勝利は、社会人上位の強豪を破るという意味では、第25回大会で早大が東芝府中を下して以来、18大会ぶりの快挙となる。

TL4位のトヨタ倒した!『学生史上最強』早大が歴史的金星 H18-02-13 sanspo.com

ラグビー日本選手権 準々決勝(12日、秩父宮)歴史が動いた! 全国大学選手権覇者の早大が、社会人トップリーグ(TL)4位のトヨタ自動車を28−24で破る金星を挙げた。大学チームがTLチームを破るのは、初めての快挙、壮挙だ。これで準決勝進出。学生史上最強チームの呼び声高い今季のワセダが、学生による18年ぶりの日本選手権優勝という夢へ向かって第一関門を突破した。(観衆=1万6460)

ついにこの瞬間がやって来た。歴史的勝利を告げるノーサイドの笛の音が聖地・秩父宮に響いた。早大が勝った。TLを倒した。トヨタの選手たちが地に伏す横で、主将のNO・8佐々木(4年)がPR畠山(2年)と抱き合う。号泣するHO青木(4年)の横では、あごの骨折から強行出場したFB五郎丸(2年)がひざまずくようにして笑顔を浮かべた。

スタンドで握手攻めにあった清宮監督は選手たちを握手で出迎えると、こう吐露した。「学生たちが期待に応えてよく戦ってくれた。この一言に尽きます」。今季限りで早大監督を勇退しサントリーの監督に就任する名将の目から、熱いモノがこみ上げた。

大学チームが社会人上位を下したのは、88年に早大が東芝府中に勝って以来、18年ぶり。近年では学生と社会人の実力差が開き、03年度のTL創設後は学生がまったく歯が立たない状態が続いていた。この白星は、日本ラグビー史に刻まれる歴史的金星だ。

夢だった。いや、悲願だった。「打倒TL」が今季の旗印。関東大学対抗戦のライバル・明大も慶大も、大学選手権の好敵手・関東学院大も、かませ犬にすぎなかった。清宮監督の任期最終年の今季は、対抗戦を5年連続全勝V、大学選手権でも2年連続Vを達成。「学生史上最強チーム」と謳われ、監督も選手もそれを自任した。残された仕事は、TLを倒すことだけだった。

心技体で上回るTL勢を倒すために、清宮監督が最も力を入れたのがFWの強化。アディダスをスポンサーにつけ、芝のグラウンドに最先端のトレーニング機器を備えた練習施設をバックにFWのフィジカルを鍛えあげ、FWが武器の明大や関東学院大を圧倒する力をつけた。それが奏功し、前半23分にはモールで押し込んでトライを奪った。FWが自慢の社会人と、互角以上に戦えた。

さらに、PGも解禁した。学生相手では大学選手権決勝で1度決めた以外は封印してきたが、この日は風上に立った前半に五郎丸が3本を決め、試合の主導権を握った。自らのラインアウトは14本中13本を確保し、密集への集散でも上回った。「絵に描いたようなすばらしい展開だった」と清宮監督は胸を張った。

「1年でここまで来たわけではない。積み上げてきたものを選手が出してくれた。監督冥利に尽きます」。5年前、清宮監督就任時に、選手の一部から「勝つためには他の指導者を」と就任拒否される事件があった。その時に監督は「コイツら本気で勝ちたいと思っているんだ」と逆に選手の情熱をくみ取った。時を経て“清宮ワセダ”は学生の覇権を奪い、TLの一角を倒した。次の目標は日本一。19日の準決勝の相手は今季3冠を狙うTL王者・東芝府中だ。

「東芝府中は文句なく国内最強。どこまで戦えるかが楽しみ」と、清宮監督は夢の続きを追う。歴史を動かした荒ぶるワセダは、次なる奇跡を見据えている。

(吉田宏)

◆トヨタ自動車・朽木英次監督

「昨年は油断があっての苦戦だったが、今回は3週間しっかりと準備してきての敗戦。相手はモールもスクラムもすべて強かった」


★金星VTR

早大が風上の前半7、14分にFB五郎丸のPGで先制。23分にはモールを押し込んでNO・8佐々木がトライ。トヨタは28分にLOフラベルがトライしたが、31分に早大SO曽我部がトライを追加し7点差で折り返した。後半にはトヨタがWTB内藤のトライ、SO廣瀬のPGなどで追撃したが、早大は懸命な守備で4点を守り切った。トヨタは後半のフラベルのラフプレーによるシンビン(10分間退場)が痛かった。

■データBox

早大の日本選手権での成績は、通算15度の出場で8勝10敗。試合方式が社会人王者−大学王者の1試合から、複数チームによるトーナメント制に変更された97年度以後は4勝5敗。優勝は学生最多の4度。通算でも神戸製鋼(9度)、新日鉄釜石(8度)に次ぎ、東芝府中などと並ぶ3位タイ

■早大ラグビー部

1918(大正7)年創部。27年の豪州遠征で生み出された「揺さぶり戦法」で戦前に黄金時代を築き、戦後は大西鐵之祐監督のもと50年代に常勝時代を迎えた。60年代には対抗戦Bグループに転落するなど低迷も味わったが、62年には「カンペイ」と呼ばれるサインプレーを編み出すなどして、明大、慶大などと名勝負を繰り広げた。日本選手権優勝4度、大学選手権優勝は大学最多の13度、関東大学対抗戦優勝18度。グラウンド所在地は東京都杉並区上井草。部員144人(選手126人、マネジャー7人、スタッフ11人)。

▼日本選手権

60年度発足のNHK杯を母体に63年度にスタートし今季で43回目。96年度までは社会人王者−学生王者の一発勝負として行われてきたが、翌年度からトーナメント制に変更。現行方式はトップリーグ上位4チーム、学生上位2校、クラブ日本一、トップチャレンジ(トップリーグ昇格選考試合)1位の8チームによる変則トーナメントで実施されている


10 早大金星 トヨタに“史上初”の快挙H18-02-13 Sponichi Annex

「清宮ワセダ」が悲願の打倒トップリーグを果たし、日本ラグビー史上に残る金星を挙げた。日本選手権第2日は12日、東京・秩父宮ラグビー場で準々決勝2試合を行い、トップリーグ4位のトヨタ自動車と対戦した学生王者・早大は、ラインアウトを支配して常に先手を取る理想的な戦い。終盤のトヨタの反撃を抑えて28―24で逃げ切った。日本選手権で大学がトップリーグ勢に勝つのは史上初。社会人上位を破ったのも1988年の早大以来18年ぶり。清宮克幸監督(38)就任5シーズン目で初めてベスト4に進出した早大は、19日の準決勝でトップリーグ王者・東芝府中に挑戦する。

 早大陣内深くでトヨタ自動車のCTB遠藤幸がノックオンした瞬間、秩父宮の観衆は総立ちとなった。ノーサイドの笛が絶叫でかき消される。ロスタイムの3分間、トップリーグの威信を懸けた相手の反撃に耐えて、つかんだ金星。タックルを続けた選手たちは雄叫びを上げ、清宮監督は目を真っ赤にしながらスタッフたちと抱き合った。

 No・8佐々木主将は「すべて想定内でした」と胸を張った。試合前のトスに勝ってキックオフを選んだが、格上のはずの相手は後半の反撃に懸けて風下を選択。「勝つチームなら風上を取る。よし、と思った」(清宮監督)。最初のスクラムで自信が確信に変わり、ラインアウトはサインを読み切って相手ボールを何度も奪った。焦った相手が反則を連発すると、FB五郎丸が次々とPGを成功。「トヨタがトップリーグで一番失点したパターン」(同)という分析通り、モールでもトライを挙げた。昨年の対戦は残り10分までリードしながら9―28と敗れたが、1年後の再戦は1度もリードを許さない快勝だった。

 今季は、最初から社会人が目標だった。佐々木主将は昨年の夏合宿初日の時点で「すでに昨年のチームを超えた」と打倒トップリーグを宣言。シーズン中も常に選手に意識させてきた。同10月には国内最強の東芝府中とあえて練習試合を行い、2軍相手に17―67と大敗。だが、そこで再確認した課題のスクラムは、トヨタとも互角に戦うほど成長していた。「清宮さんを、負けたままワセダを去らせるわけにはいかない。教えてもらった、すべての世代からの恩返しができたと思う」。佐々木主将は、今季で勇退する指揮官へ言葉を贈った。

 社会人に3ケタ失点で負けていた早大を5年間で最強チームにした名将は言った。「90年代、社会人ラグビーはヒト、モノ、カネをそろえて右肩上がりに成長したが、学生は同じだった。その差を縮めてきた5年間だと思う。やるだけやったことが、しっかり返ってきた」。才能あふれる人材を、充実の施設と的確な指導で鍛え、トップリーグのレベルまで進化した学生チームの次の標的は、3冠を狙う王者・東芝府中。すでに分析を始めているという佐々木主将は「すべてをぶつけたい。楽しみです」と不敵に笑った。

 ≪「言い訳なし」の敗戦≫トヨタ自動車が学生に屈辱的敗戦を喫し、無冠で今季を終えた。マイボールラインアウトを13本中5本しか取れずに攻撃の起点を失い、前半はスクラムで反則を取られる判定にも泣いて防戦一方。後半に反撃したものの、19分に元オールブラックスFWフラベルが相手を殴ってシンビン(10分間退場)となったのが響いた。ゲーム主将のCTB難波は「言い訳なしで完敗」と肩を落とし、朽木監督は「正々堂々戦ったが相手が強かった」と素直に敗戦を認めた。
11 ラグビー:早稲田、トヨタを降し準決勝進出 日本選手権 H18-02-13 mainichi-msn

ラグビーの第43回日本選手権は12日、東京・秩父宮ラグビー場で2回戦2試合が行われ、全国大学選手権の覇者、早大がトップリーグ4位のトヨタ自動車を28−24で降した。大学勢が社会人の上位チームに勝ったのは、88年に早大が東芝府中を破って日本一になって以来18年ぶり。

 前半7点のリードを奪った早大は、後半もトヨタの攻撃を耐えしのぎ、一度も逆転されることなく逃げ切った。NECは来季からトップリーグに昇格するコカ・コーラウエストジャパンから10トライを奪って大勝した。

 準決勝は19日、東芝府中・早大(秩父宮)、NEC・三洋電機(近鉄花園)の顔合わせで行われる。

 ◇トレーニングと研究の成果で主導権 早大

 ロスタイムになってもトヨタ自動車の攻撃は続いた。4点差、1トライで試合はひっくり返る。必死の防御で耐えしのぐ早大。しかし、時計が44分を経過した時、トヨタが敵陣で痛恨のノックオン。ノーサイドの笛が鳴って、社会人の厚い壁はついに崩れた。

 終盤は防戦一方の展開だったが、早大には手ごたえがあった。「最初のスクラムでこれは行ける、五分の勝負ができると思った」と主将のNO8佐々木。昨年のトヨタ戦ではFWの圧力で完全に押された。その教訓から今季はFWを徹底強化し、社会人並みの強さを身につけた。前半23分にはドライビングモールを押し込んで佐々木が最初のトライ。スクラムで押し、相手のラインアウトを次々と奪って主導権を握ったのは、トレーニングの積み重ねと研究の成果だった。

 社会人と大学との実力差が開き、日本選手権での対戦は無意味とさえ言われた時期もある。だが、清宮監督は強い口調で言った。「90年代、社会人ラグビーはヒト、モノ、カネを投資して右肩上がりで強化していったのに、大学は同じことを繰り返していただけ。しかし、この約5年間で差は縮まってきた」。早大をはじめ、企業スポーツ並みに競技環境を整えて強化を進める大学が増えつつある。

 トヨタの朽木監督は「学生に負けることは許されないと思うが、努力したチームはやはり強くなれる。早稲田を見て感じた」と潔く負けを認めた。日本選手権の歴史に残る一戦。早大ラグビーは、大学スポーツ復活の兆しを予感させる。【滝口隆司】


 
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